台湾旅行や中国語学習で気になる「台湾華語」と「中国語」の違い。

台湾の言葉って、中国で話されてる中国語と同じなの?
通じないこともあるのかな?

ベースは同じだからお互い通じるんだけど、漢字や発音、単語にいくつか違いがあるんだ!
この記事では、台湾華語について中国語(普通話)との違いを「漢字・語彙・発音・発音記号・文法」の5つのポイントからわかりやすく解説します。
台湾の人々が普段どうやって自分たちの言葉を呼んでいるのか、全く違う言語「台湾語」の事情も交え、台湾の言葉のリアルをお届けします。
台湾華語と中国語(普通話)の5つの違い

台湾華語とは、主に台湾で話されている中国語のことです。
しかし、大陸の中国語と区別するために日本では台湾の中国語のことを「台湾華語」と表記することがあります。
たまに、香港やマカオのように台湾でも広東語が使われていると誤解される方もいますが、台湾では広東語は使用されていません。
台湾人と中国人はお互いの言葉で問題なく意思疎通ができますが、歴史的背景や文化の違いから以下の5つの面で明確な違いがあります。
1つ1つ違いを見ていきましょう。
1. 漢字の違い:台湾は「繁体字」、中国は「簡体字」
もっとも視覚的にわかりやすい違いが、使用する漢字です。
- 台湾(繁体字):画数が多く、簡略化されていない伝統的な字体、日本の旧字体に近い
- 中国(簡体字):従来の漢字の画数を大幅に簡略化した字体
日本の現在の漢字は簡体字とは異なる独自の略し方をしています。
一方で繁体字は日本の旧字体とほぼ同じなので、日本人にとっては繁体字のほうが推測しやすく、比較的読みやすいです。
以下は繁体字・簡体字・日本語を比べた表です。
| 繁体字(台湾) | 簡体字(中国) | 日本語の意味 |
| 為什麼 | 为什么 | なぜ |
| 買賣 | 买卖 | 売買 |
| 觀光 | 观光 | 観光 |
日本語と同じ単語が多く、意味は推測しやすいですが、3つとも漢字が異なります。
また、香港やマカオでも繁体字が使われていますが、香港やマカオは広東語なので、発音が全く異なります。
簡体字は中国のほか、シンガポールでも使用されています。

間違いやすい漢字は覚えなおす必要があるよ!
2. 語彙(単語)の違い
台湾と中国では、同じものを指す場合でも異なる単語を使うことがよくあります。
| 台湾華語 | 中国の中国語 | 日本語の意味 |
| 鳳梨 | 菠萝 | パイナップル |
| 腳踏車 | 自行车 | 自転車 |
| 馬鈴薯 | 土豆 | じゃがいも |
特に注意したいのが、同じ単語でも意味が異なるケースです。
中国語で「土豆」はジャガイモを指しますが、台湾で「土豆」と言うと「ピーナッツ」を意味します。
台湾の街中や食堂などで注文する際には、上記のような単語の違いを見つけるたびに覚えていくとスムーズです。
3. 発音の違い:台湾華語は「そり舌音」が弱く柔らかい
基本的な発音の仕組みは同じですが、台湾人の話す中国語は全体的に丸みがあり、柔らかく聞こえるのが特徴です。
以下の発音の面で違いがあります。
- そり舌音(zh, ch, sh, r):中国語特有の舌を丸めて出す発音ですが、台湾では舌をあまり巻きません
- アール化(儿化音):中国でよく使われる語尾の「儿(er)」の発音を、台湾ではほとんど使いません
どちらの発音も日本人にとっては難しいので、上記の発音をあまりしない台湾人の中国語は、日本人にとって発音しやすいです。
また、単語では以下のような違いがあります。
| 台湾華語 | 中国の中国語 | 日本語の意味 |
| 哪裡 | 哪儿 | どこ |
| 一點點 | 一点儿 | 少し |
中国語には声の抑揚で意味を区別する「声調」がありますが、台湾華語は抑揚が比較的平坦です。
軽声の発音は少なく、中国で軽声で発音される漢字の発音が、のびるように一声になることもしばしばあります。
中国で一声で発音される漢字が二声に変化することなどもあり、細かい発音の違いは結構あります。
4. 発音記号の違い:ボポモフォとピンイン
フリガナのような、漢字の読み方を表す発音記号にも違いがあります。
- 台湾:注音符号(ボポモフォ / ㄅㄆㄇㄈ)
- 中国:拼音(ピンイン / Pinyin)
実際に「你好」を注音符号と拼音で表すと、以下のようになります。
| 台湾(ボポモフォ) | 中国(ピンイン) | 日本語の意味 |
| ㄋㄧˇ ㄏㄠˇ | Nǐ hǎo | こんにちは |
ただし、台湾で語学留学しても基本的に授業は拼音を使用しています。
中国語を勉強する外国人にとっては、アルファベット表記の拼音のほうがわかりやすいからです。
しかし、注音符號のほうが中国語の発音表記に特化しているため、発音がわかりやすいと感じる中国語学習者も少なからずいます。
また、台湾人にとって注音符號は日本人の仮名文字のような存在で、拼音は習ったことがないためわからない人が多いです。

台湾人の友人に発音を教えてもらいたい場合は、ボポモフォを覚えておくことをおすすめだよ

5. 文法・語順の違い
台湾華語には中国の中国語と少し違う文法もあります。
例えば、「私はあなたに電話を掛けます」という文章で比べてみましょう。
- 中国:我給你打電話。(主語のあとに「あなたに」を置く)
- 台湾:我打電話給你。(動詞のあとに「あなたに」を置く)
上記の文はどちらも同じ意味なのですが、少し語順が違います。
「あなたに」を意味する「給你」が中国の中国語では主語の次に、台湾華語では電話の後に置きます。
どちらで話しても意味は通じますが、台湾で中国式の語順で話すと文法を指摘されることがあるかもしれません。
台湾現地の人は中国語をどう呼ぶ?

台湾人は、自分たちが話す中国語のことを「國語(Guóyǔ)」または「中文(Zhōngwén)」と呼びます。
「國語」は、自分たちの国の言葉という意味で、日本の学校授業で「日本語」といわず、「国語」といっているのと同じような感じです。
中国人が使う「普通話(Pǔtōnghuà)」という呼び方は、台湾ではしません。
実は「中国語」と一口に言っても、話される地域や使用する人々の立場によって様々な呼び方があります。
それぞれの言葉が持つ意味とニュアンスの違いを以下の表で整理してみましょう。
| 中国語 | 意味 |
| 中文 | 広義の中国語 |
| 國語 | 自分たちの国の言葉 |
| 華語 or 華文 | 華人の言葉 |
| 漢語 | 漢民族の言葉 |
| 普通話 | 中国の中国語の標準語 |
上記のように、呼び方によって指し示す範囲や歴史的背景が少しずつ異なります。
中国人は中国語のことをよく「漢語(Hànyǔ)」ともいいますが、台湾人にとっては「漢語」は「漢民族」が話す言葉という意味です。
中国は漢民族が9割を超えますが、台湾は原住民や閩南人、客家など多種多様なルーツを持つ多民族国家で、純粋な漢民族はさほど多くありません。
実際に統計では、台湾でも漢民族が人口の大半を占めていますが、数世紀にわたる通婚により多くの台湾人が原住民の血を引いています。
ある1つのDNA調査によると、台湾の人口の88%が原住民の祖先を持つといわれています。
そのため、台湾人にとって「漢語」は使用頻度が低い単語です。
ほかにも「華語(Huáyǔ)」や「華文(Huáwén)」といういい方もありますが、これは「華人(中華系の人)が話す言葉」という意味です。
「中文」が大きくまとめて「中国語」という意味で、外国人や華人以外が話す中国語という意味も含みます。

僕たち日本人が話す中国語も「中文」だよ
中国語とは別言語の「台湾語(台語)」もある

台湾には、台湾華語(中国語)とは全く異なる「台湾語(台語 / Táiyǔ)」という言語もあります。
台湾語は、中国福建省の南部で話されている閩南語をルーツに持つ台湾独自の言語です。
現在では主に年配の方が話すことが多いですが、家族同士の会話や買い物での店員さんとのやり取りなど日常的に耳にします。

特に田舎のほうに行くと普通に台湾語で話しかけられることもあるよ!
ただし、現在、台湾語を日常的に話す若者は減少傾向にあり、あまり台湾語を話せない若者が都心を中心に増加しています。
また、原住民が話す「台湾諸語」もあります。
台湾諸語はオーストロネシア語族に属する言語で、ナウル語やハワイ語、ニュージーランドの原住民マオリ族の言葉などが親戚言語にあたります。
台湾語と台湾華語について詳しくは「【保存版】台湾語と中国語の違いとは?旅行で使える基本フレーズ・挨拶まとめ」を参照してください。

台湾人が中国語を話す理由
台湾において中国語が標準語として定着している背景には、中華民国政府が戦後に行った一貫した政策があります。
もともと南京に政府を置いていた中華民国政府は、言語を統一するための標準語政策を積極的に推進していました。
この際に用いられた標準語が、現在一般的に知られている中国語であり、中国では「普通話(Pǔtōnghuà)」と呼ばれています。
1945年に日本が台湾の統治権を手放した直後から、中華民国政府による台湾統治が始まりました。
統治開始と同時に台湾の人々に対する中国語教育が強制的に行われ、それ以降、政府は一貫してこの言語教育を継続してきました。
このような歴史的経緯があるため、現在でも台湾の標準語として中国語が使用されているのです。
さらに、台湾華語が独自の発達を遂げた背景には、歴史的な多重構造があります。
現地で広く話されている「台湾語」や、日本統治時代の50年間で台湾人の共通語となっていた「日本語」の語彙や表現が混ざったことも、理由の1つです。
複数の言語文化が融合したことで、中国大陸の中国語とは異なる特徴を持つ「台湾華語」が形成られました。
まとめ:台湾華語と中国語の違いを理解して、もっと楽しく学習しよう!
台湾華語と中国の中国語の違い、台湾独自の言語背景について詳しく解説しました。

漢字や発音の違いだけじゃなくて、色んな民族の歴史や言語が混ざり合っているのが台湾の面白さだね!

中国語の勉強をしている人も、台湾のさまざまな言葉の背景を知っておくと、さらに面白くなるはずだよ!
- 台湾の「繁体字」は日本の旧字体に近く読みやすいが、中国の「簡体字」とは異なる
- 同じ意味でも台湾と中国で異なる語彙がある
- 台湾華語はそり舌音や「儿」の発音が少なく、声調(抑揚)も平坦で日本人にとって発音しやすい
- 台湾では発音記号に「注音符號(ㄅㄆㄇㄈ)」を使い、中国や語学学校で使う「拼音(Pīnyīn)」は習わない人が多い
- 台湾華語は、一部の文法・語順に中国語との違いがある
- 台湾では中国語を「普通話」や「漢語」とは呼ばず、主に「國語」や「中文」と呼ぶ
- 台湾には中国語とは別の「台湾語」や、ハワイ語などの親戚にあたる原住民の「台湾諸語」もある
- 中国語との違いがあるものの、台湾人と中国人はお互いに問題なく意思疎通ができる
台湾華語への理解を深めることは、現地の文化や人々をより深く知ることにも繋がります。
一歩ずつ、楽しみながら学習を進めていきましょう!
大学卒業後、台湾の台中で1年間のワーホリを経験。
語学を勉強するのが好きで、大学時代に中国語を副専攻で勉強しながら、ラテン語の授業を受けたり、韓国語を独学で勉強したりした。
また、イタリア語をオンラインで学習中。
語学学習の楽しさやさまざまな国の文化を発信。

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