イタリア語の格言「paganini non ripete」意味や由来について

イタリア語

イタリア語の「paganini non ripete」という格言を聞いたことがありますか。

龍

どういう意味なの?

この記事では、イタリア語の格言「paganini non ripete」の意味や由来について紹介します。

「paganini non ripete」の意味は?

夕焼けに染まるトリノの街並み

「paganini non ripete」の意味は、直訳すると「パガニーニは繰り返さない」です。

以下のような意味で使用します。

  1. 才能や実力のある者はそれを軽々しくひけらかさない
  2. わざわざ繰り返したくない

1つ目の意味は、日本語の諺で例えると「能ある鷹は爪を隠す」などが当てはまります。

また、2つ目の意味で嫌味っぽく、冗談っぽく使うことの方が多いようです。

例えば、AさんがBさんのコンサートに行くと約束したのに、Aさんは当日来ず、後日Bさんに「ああ、行けなくて残念だったよ。次のコンサートでも同じ曲を演奏してくれない?」と頼むと、Bさんは「paganini non ripete(パガニーニは繰り返さない)」と言って立ち去るという感じで使います。

「paganini non ripete」の由来

「paganini non ripete」の由来は、パガニーニという人物の逸話に由来します。

パガニーニは有名なイタリアのヴァイオリン奏者でした。

ある時、パガニーニはサルデーニャ(今の北イタリア:首都はトリノ)国王の前でヴァイオリンを演奏しました。

そのとき、その国王は演奏が素晴らしかったので、もう一度演奏してほしいとアンコールを要求しました。

ところが、パガニーニは演奏した曲が即興で作った曲だったため、「paganini non ripete(パガニーニは繰り返さない)」と言い、きっぱり断りました

しかし、国王の要求を断ったことで、パガニーニは2年間国外追放されてしまいました。

この逸話から「paganini non ripete(パガニーニは繰り返さない)」という格言が生まれ、使われるようになりました。

パガニーニの生涯

パガニーニの似顔絵 いらすとや

ニッコロ・パガニーニ(1782-1840)は、イタリアのヴァイオリン奏者で、作曲家です。

特にヴァイオリンの名手として、ヨーロッパで名を馳せました

彼のヴァイオリンの腕は素晴らしく、「悪魔に魂を売った代償としてその技術を手に入れた」と噂されるほどでした。

実際に、彼の演奏を聴きに行った人の中には、本当に恐ろしくなって、十字を切り始める人もいたと伝えられています。

そんなパガニーニが、ヴァイオリンを弾き始めたのは、彼が7歳のときでした。

実はパガニーニは、ヴァイオリンを習う前にマンドリンという楽器を父から習っていました。

というのも、パガニーニの両親は二人ともアマチュア音楽家で、父アントニオはマンドリン奏者だったからです。

驚くことに、5歳半で習い始めたマンドリンをパガニーニは、たった数カ月でどんな曲でも初見で弾けるようになり、8歳になる前に父の指導の下で作曲もしていたそうです。

マンドリンをマスターしたあとに、ヴァイオリンを習い始めました。

父アントニオはマンドリン奏者であるとともに、ヴァイオリンも弾くことができたので、パガニーニはヴァイオリンも父から習いました。

ヴァイオリンの特訓は過酷なもので、朝から晩まで弾き続け、少しでも間違えれば父から怒鳴りつけられ、ひどい時は食事も与えられませんでした

パガニーニがヴァイオリンを始めてから4年後、11歳のとき、パガニーニはジェノバの大劇場でデビューしました。

このパガニーニのデビュー演奏会は大成功し、演奏を聴いたすべての聴衆が、パガニーニの演奏に感動したそうです。

そして、13歳になると学ぶべきものがなくなり、自作の練習曲で練習するようになりました。

18歳のとき、パガニーニは生涯をともにするヴァイオリン「カノン(Cannon)」と出会います。

23歳、ナポレオンの妹であるエリザのもとで宮廷楽団のヴァイオリン奏者として就職します。

その後、30歳ころからパガニーニは本格的に金を稼ぐため、演奏家としてイタリア中を飛び回るようになります。

このころから、パガニーニは「悪魔にとりつかれたヴァイオリニスト」という印象を受けるようになります。

その原因は彼の容姿にありました。

幼いころから病弱なパガニーニは、青白い顔をしていて、歯はなく、細くひょろっとし、腕だけがやけに長ったのです。

しかも、黒づくめの服をいつも着ていて、演奏中は大胆で酔っ払いのような動きをしていたことも相まって、人々にはより強く、悪魔のイメージが浸透していきました。

パガニーニが46歳のとき、彼の知名度はイタリアを越え、ヨーロッパ中に知れ渡りました。

パガニーニはヨーロッパ諸国で数多くのコンサートを開催し、ヴァイオリン奏者では例を見ないほど稼ぎます。

しかし、稼げば稼ぐほどどんどん欲が出て、チケット料金を2倍にしたり、観客を長時間待たせたりするようになりました。

その上、パガニーニはギャンブルに溺れ、もともと病弱な彼の体は、ボロボロになっていきました

40歳のときには、すでに梅毒と診断され、水銀の薬を飲んでいた上に、52歳のとき、ついに結核も診断されます。

53歳のとき事業が大失敗し、所持金が尽き、とうとう楽器まで手放さないといけなくなりました。

その後、57歳のとき、突然凄まじい痙攣とともに、体内で大量出血が起こり、息を引き取ります

パガニーニの墓

パガニーニの墓は現在、イタリア北部のパルマにあります。

しかし、亡くなってすぐにここに埋葬されたわけではありません。

パガニーニは悪魔のイメージが強く、しかもパガニーニの最期が不吉であったため、どの教会もパガニーニの遺体を埋葬することを拒否しました。

約2年間、パガニーニの遺体は友人の間を行ったり来たりし、一度は個人の土地に違法で埋葬されますが、それから3度場所を移し替えられ、死後36年後にしてやっとパルマの墓地に埋葬されました

まとめ

以上、イタリア語の格言「paganini non ripete」の意味や由来について紹介しました。

龍

イタリア語の格言って面白いね!

みなさんも二度と繰り返したくないときなどに「paganini non ripete」を使ってみてくださいね。

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