みなさんは、台湾語を知っていますか。
この記事では、台湾語についてや中国語との違いについて紹介します。
台湾語とは
台湾語とは、台湾で話されている言語の一つで、中国の福建省南部で話されている閩南語をルーツとする言語です。
台湾の公用語ではないものの、家庭内での使用頻度は高く、台湾人にとって親しみのある言語です。
台湾語は、「台語(tái yǔ)」と呼ばれます。
もともと文字を使用せず、口伝えで受け継いできた言語のため、台湾語は主に話し言葉として使われます。
今は、台湾語に漢字を当てはめて表記することがありますが、やはり書き言葉では使用されることは少ないです。
現在、台湾語話者数は減少傾向にあり、家庭内で台湾語話す機会も都市部を中心に減少しています。
原因はいくつかありますが、要因の一つは、以前中国寄りの政権が実権を握ったときです。
学校内で学生が台湾語を話すことを禁止する政策があり、それが10年ほど続きました。
その影響で、台湾語を話せない親が増えたため、家族内での会話も台湾語を話さず中国語で話すようになりました。
そして、現在では台湾語をなくさないために台湾の小学校で台湾語を勉強します。
しかし、家庭内を中心に話されている台湾語に標準語がないため、家族が子どもの教科書に載っている台湾語を見て、「こんな台湾語知らない!初めて知った!」とびっくりすることも少なくないようです。
現在、減少傾向にあると言えども、まだまだお年寄りを中心に台湾語は台湾全土で話されています。
そのため、台湾語を少しでも話せると台湾人に喜ばれますよ。
中国語との違い
台湾語は中国語に似ていると思われがちですが、実は親戚関係にあるものの、発音・語彙・文法は異なり、言語的距離は英語とドイツ語より離れていると言われています。
発音の違い
中国語の声調は4種類ですが、台湾語の声調は7種類あります。
加えて、後ろに音節がつくと転調するという特徴があります。
転調はややこしいですが、話しやすいように変化しているので、慣れたらそれほど苦になりません。
表記の違い
台湾語の表記方法は、漢字とローマ字の混ぜ書きが主流です。
漢語由来ではない語彙は全体の20~30%含まれており、それらの語彙は主にローマ字で表します。
日本語の「~と」や「~の」などの助詞や「でも」・「ゆっくり」など漢語由来でなく漢字がない語彙を通常ひらがなで書くのと同じです。
また、ローマ字のシステムにもいくつか種類があります。
一番代表的なのは、教会ローマ字(白話字/POJ)で、19世紀の後半にはすでに確立していました。
日本で出版されている台湾語のテキストのほとんどがPOJを採用しています。
もう一種類は、2006年に台湾政府が公式表記法と定めた「臺灣閩南語羅馬字拼音方案」(台羅/TL)で、POJとは少し異なります。
TLも台湾で出版されている教科書などで使用されており、最近の雑誌や文書では主流になってきています。
語彙・文法の違い
台湾語は一音節の動詞や形容詞がとても豊かで、意味するところが繊細であるのも特徴です。
例えば、「剥(む)く」という単語だけで、3種類もあります。
- lut黜:ピーナツの薄皮などを指先で剥く
- peh擘:みかんなどを剥く
- peh擘:大根などを刃物で剥く
このように日本語ではたった一つの単語で済むことも台湾語ではすべて異なる単語で表します。
また、文法では「ū有+(形容詞や動詞)+bô無?」構文というものがあります。
例えば、「彼女はきれいですか?」は、「伊有水無(I ū súi bô)?」となります。
一般的な中国語だと「她漂亮嗎?」と言い、これは中国語には見られない構文です。
しかし、台湾華語(台湾で話される中国語)は、台湾語の影響を強く受けているので、「她有沒有漂亮?(彼女はきれいですか?)」と話す台。
使える台湾語
最後に今日から使える台湾語を紹介します。
リーホー:你好
「こんにちは」、中国語の「你好」の台湾語です。
最も基本的で使いやすい挨拶です。
ホーの部分は、中国語の4声のように音を上から下に下げる(↘)感じで読んでみましょう。
ジャバーボエ:呷飽没?
中国語の「你吃飯了嗎?(ご飯食べた?)」という意味で、最も有名な台湾語と言っても過言ではありません。
台湾では挨拶がわりにこのフレーズを使うことが多く、日本語の「今日は天気がいいですね。」のように会ったときに使います。
パイセー:歹勢
意味は「すみません」で街中で一番よく聞く台湾語です。
中国語では「不好意思」や「對不起 」に当たりますが、個人的には日本語の「すみません」が一番意味が一致していると感じます。
街中でぶつかったときや混み合ってるところを通して欲しいとき、少し申し訳ないけど感謝を伝えたいときなど日本語で「すみません」という場面はほぼすべて「パイセー」に置き換えられます。
また、年齢と問わず広く浸透しているため、若者同士の会話でもよく登場します。
台湾で混み合う街を歩く時に、「パイセーパイセー」と言うと、現地人気分を味わえます。
ドゥオシァー:多謝
「ありがとう」という意味の台湾語です。
中国語の「謝謝」や「多謝」で、中国語では「多謝」は古い言い方で日常ではあまり使われず、時代劇でよく聞きます。
中国語とは発音が違いますが、簡単な一言ですので、飲食店などでお礼を言うときに使ってみてください。
ジッブンラン:日本人
「日本人」の台湾語です。
台湾で生活していたとき、台湾語で「日本人か?」と聞かれたことがあります。
「ジッブンラン」が聞き取れたので、「ワーシージッブンラン(我是日本人/私は日本人です)」と返しました。
とても喜ばれたので、みなさんもぜひこのフレーズを覚えて使ってみてください。
ホージャー:好呷
「おいしい」という意味の「好吃」の台湾語です。
夜市で美味しい食べ物を食べたときには、ホージャー!と言ってみましょう。
ヘイアー:黑啊!
「そうだよ!」という意味で、中国語の「對啊!」にあたります。
これも耳にする頻度が高く、台湾人との会話では「ヘイアー」を使ってみましょう。
ホウ:好
「はい」、中国語の「好」です。
お店で料理や商品などの説明を聞いているときに「ホウ」と返事してみましょう。
リャオガイ:了解
「了解、理解しました」という意味で、中国語の「了解」です。
日本語では目上の人やお店の人に「了解」と言いませんが、台湾ではいろいろな場面でよく使われる一般的なフレーズです。
お店の人に言っても失礼に当たりませんので、ぜひお店などで使ってください。
シュイ:水
「きれい」の台湾語で、中国語の「漂亮」と同じ意味です。
漢字で「水」を使っている理由は、中国語の「水」に発音が似ているからです。
台湾の女性に会ったら使ってみましょう。
番外編:日本語由来の台湾語
台湾には日本統治時代の名残が今なおあり、それは言葉にも残っています。
日本語由来の台湾語はたくさんあり、日本人にとっては覚えやすいです。
アタマコンクリ:阿搭馬孔固力
「頭が固い、頑固だ、馬鹿だ」という意味です。
日本語の「頭」と「コンクリート」をくっつけてできた罵倒言葉です。
日常会話でよく使い、本気で馬鹿にするわけではなく、冗談っぽく言います。
日本語の「あほ」や「バカ」のような軽い感じの言葉です。
アタマショート:阿搭馬秀逗
「アタマコンクリ」と同じ罵倒語で、「頭おかしい、ばかげている」という意味です。
使う場面は「アタマコンクリ」と同じで、友達に冗談として言ったりします。
日常生活
- オジサン(欧吉桑)
- オバサン(欧巴桑)
- トーサン(多桑)
- ウンチャン(運將)
- カバン
これらの言葉は日本語がそのまま残っています。
意味もそのままなので、意外と日本語が通じる瞬間がありますよ。
外来語
- トマト
- ネクタイ
- ドライバー
- アクセル
- エンジン
- バックミラー
- タイル
これらは日本語の外来語をそのまま取り入れた言葉です。
台湾語は日本語由来の言葉が残っているため、単語も覚えやすく、親近感がわきます。
他の台湾語の単語も覚えて、台湾人とのコミュニケーションを楽しみましょう。
まとめ
以上、台湾語について紹介しました。
中国語とは全く違うので、台湾語を勉強する場合は中国語を学習したことがあっても一からの習得になります。
しかし、日本語由来の単語も多いですし、台湾人曰く日本人は台湾語の発音が上手らしいので、興味があったら簡単な単語から覚えてみましょう。
そして、台湾に行ったときはぜひ台湾語を使ってみてくださいね。
大学卒業後、台湾の台中で1年間のワーホリを経験。
語学を勉強するのが好きで、大学時代に中国語を副専攻で勉強しながら、ラテン語の授業を受けたり、韓国語を独学したりした。
また、イタリア語をオンラインで学習中。
語学学習の楽しさやさまざまな国の文化を発信。
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