中華圏では旧正月である春節に新年を盛大に祝います。
春節は中華圏で最も盛り上がる時期で、全世界の華人にとって一番重要で伝統的な祝日です。
毎年この時期に中国人観光客が増加し、よくニュースに取り上げられていますね。
今年2024年の春節はいつでしょうか。
この記事では、春節について期間や意味、食べ物など春節にまつわることを紹介します。
2024年の春節はいつ?
2024年の春節の元旦は、2月10日(土曜日)です。
連休は、台湾では2/8(木)から2/14(水)までの7連休、中国では2/10(土)から2/17(土)までの8連休です。
2月9日の大晦日は「除夕」といい、台湾では休みですが中国では2024年から祝日ではなくなりました。
一般的に中華圏のお正月は、旧暦の1/1から1/15までとされ、1月15日は「元宵節」といわれ、「湯圓」を食べて過ごします。
「元宵節」は日本の小正月にあたり、昔は日本でも15日まではお正月でしたね(※地域によって何日までお正月か異なります)。
春節の元旦から5日間は以下のような意味があります。
初一(旧暦1/1、元旦)走春(行春)
「走春」は農耕時代からの伝統風習で、中国語で「走」は歩くという意味です。
「春」は台湾語の「剩(余る)」と同じ発音で、余る・残るという意味です。
元日に歩けば歩くほど余りが出るという意味で、新年の始まりに家族でお出かけすれば、その年を裕福に過ごすことができるという願いが込められています。
ちなみに、元日は夫の実家に帰る日で、妻の実家に帰ると運が悪くなると言われています。
初二(旧暦1/2)回娘家
二日は妻の実家に帰る日です。
「娘」は中国語で「母」の意味もあります。
台湾は初二に妻の実家に帰りますが、中国の場合は隔年でお互いの実家を行き来することが多いそうです。
初三(旧暦1/3)睡到飽
夜は早く寝て、お正月で疲れた身体を休ませ、たっぷり睡眠をとる日です。
初四(旧暦1/4)迎財神
「財神」と呼ばれるお金の神様をお迎えして、金運に恵まれるように祈る日です。
初五(旧暦1/5)開工
春節のお祝いが終わり、仕事を始める日です。
商売繁盛を祈り、また一年を働き出します。
春節の由来
春節の習慣は、中国神話から生まれました。
中国神話には「年」という名前の伝説上の獣がいました。
「年」は牛のように大きく、頭には角が生えた獅子で、とんでもない怪力の持ち主でした。
「年」は普段は海または山に住んでいましたが、旧暦の大晦日になると人里にやってきて人を喰らいます。
特に、子どもの肉が好きで人々は怯え、「年」の恐怖から逃れるため、人々は家に閉じこもっていました。
しかし、その後人々は「年」が大きな音や赤い色、火、光を恐れることを知り、これらを使って「年」を追い払うようになりました。
これにより、赤色は吉祥の象徴となり、旧暦の大晦日の夜に爆竹を鳴らし、提灯に火を灯す習慣が生まれました。
赤い紙を使用する習慣もこの神話が由来です。
日本にもこの習慣が伝わっており、長崎県の精霊流しで爆竹を使用するのは、この風習の影響です。
春節の過ごし方
春節の数日前から春節に向けての準備が始まります。
- 赤い灯篭、春聯など縁起物を飾りつけ
- 爆竹や花火の打ち上げ
- お年玉をあげる(もらう)
- 家族と過ごす
- ご馳走を食べる
地方によって龍の舞や獅子舞など祝い方もありますが、上記の祝い方は最も伝統的で、各地でやっています。
赤い縁起物の飾りつけや爆竹、花火の打ち上げは上記の通り「年」を近づけないために行います。
飾り付けの中でも「逆さ福字」は、「福が逆さまになる(福倒了)」と「福が来る(福到了)」が同じ発音のため、福が訪れますよう願いを込めた縁起物です。
お年玉は中国語で「壓歲錢」または「紅包」といいます。
「紅包」はもともと単にお祝い袋を指していましたが、転じてお年玉のことを指すこともあります。
台湾や中国などの中華圏の春節でも、日本のお正月と同じように帰省して家族で過ごすことが一般的です。
そのため、連休の前後は帰省・帰宅ラッシュで道が渋滞することもあります。
特に、中国では「民族大移動」と呼ばれるほど何十億人もの人々が移動します。
春節の食べ物
春節には、縁起の良いご馳走を食べます。
中国語で「年菜」といい、日本のお節料理のようなものです。
春節に食べる代表的な食べ物は以下の通りです。
魚料理
魚の発音は「余り」の意味をする「餘」と同じのため、四字熟語の「年年有餘(毎年食べ物やお金が余るように)」という意味を込めて、春節に欠かせない料理の一つです。
焼き魚や煮付け、カラ汁にするなど、家庭によって様々な魚料理を作ります。
また、一般家庭では川魚を食べることが多いですが、海に近い地域などでは海魚を食べる習慣もあります。
水餃子
水餃子の形が中国の昔の貨幣である「元宝」に似ていることから、餃子を食べることは富をもたらすと考えられています。
ただし、水餃子を春節に食べるのは、主に第二次世界大戦後の中国から移民してきた台湾人家庭が多く、昔ながらの閩南系台湾人は食べないようです。
春巻き
春巻きは、春祭りの期間中に伝統的に食べられるため、その名前が付けられました。
江西、江蘇、上海、福建、広州、深圳、香港などの中国東部で特に人気のある料理です。
春餅を食べることは、肉と野菜を包み、頭から尾まで食べる、終始一貫という意味を持っています。
また、金色に揚がった春巻きは、黄金を思わせ、富を象徴するともされています。
みかん
みかんやオレンジ、柚子などの果物は、丸くて「黄金色」で「豊か」や「幸運」、「成功」を意味しています。
みかんの中国語は、「橙子」または「橘子」で、「橙」の発音が「成」、「橘」の発音が「吉」の発音と似ているため、みかんを食べたり飾ったりすることは、幸運や成功をもたらすと信じられています。
また、柚子の中国語は「有」のに似ていることから、柚子を食べることは繁栄をもたらすと考えられています。
年糕
「年糕」は餅の意味、「年高(年々高くなる)」とで発音が同じで「収入や身分が上がりますように」という願いが込められている、縁起の良い料理です。
「年糕」は食べ物としての歴史が長く、もち米を粉にして、こねて作ります。
様々な種類があり、代表的なものは北方の「白糕」、塞北(長城の北部の地域)農家の「黄米糕」、江南水郷の「水磨年糕」、台湾の「紅亀糕」などです。
北方の年糕には蒸し物と揚げ物2種類あり、甘いです。
南方の年糕は蒸し物、揚げ物のほかに、炒めてスープにしてもよく、甘い味と塩辛い味があります。
鶏肉料理
台湾語で「鶏」は、「家」の発音と同じです。
そのため、鶏肉を食べると「起家」、すなわち家を起こし、繁栄することができると信じられています。
また、子どもたちが大人になり、一人前として巣立つようにという願いも込められています。
伝統的に丸鶏の方がより好まれ、頭から尻尾まで使うことで、一家団欒を祈念します。
加えて、昔の台湾農村社会では、鶏はたまごを産む大切な財産のため、めったに食べることができなかったので、一年一度のお正月のご馳走として食べていました。
蘿蔔糕 (大根餅)
大根は台湾語の発音が、中国語「彩頭(縁起が良い)」の発音に似ているため、お祝いの時によく食べられる野菜です。
大根は様々な形で料理されますが、その中でも特に「蘿蔔糕 (大根餅)」は台湾でよく食べられる料理です。
お祝いのとき以外にも朝ごはんなど日常的に食べられ、日本人にも人気の台湾料理の一つです。
パイナップル
パイナップルの台湾語「王梨」は、「旺來(福や幸運、お客さんがわんさかやって来る)」と発音が似ているため、縁起の良い果物です。
そのため、春節以外にも会社の立ち上げなどのお祝いの時によく食べられます。
發糕
「發糕」は蒸しパンの一種、台湾の伝統的なお菓子で、春節時期によく食べられます。
發糕の「發」は、「發財(お金持ちになる)」を意味し、財運が良くなることを願っています。
日本での春節イベント
日本三大中華街の横浜・神戸・長崎で春節を祝うイベントが行われます。
それぞれで違ったイベントを開催しており、食べ歩きや食事をしながら日本でも春節を楽しみましょう!
まるで台湾や中国にいる気分になれますよ。
横浜
横浜中華街最大の行事で、1986年に始まりました。
- 【春節】開催期間:2024年2月10日(土)~2月24日(土)
- 場所:横浜市|中華街全域・市場通り橋・山下公園
- 【春節燈花】点灯時間:16:00~23:00
2023年11月1日(水)から2024年2月24日(土)まで「春節燈花」というイルミネーションも開催されます。
2024 春節燈花のテーマは、「飛龍乗雲」です。
竜が雲に乗って空へ舞い上がる様は、世の移り変わる勢いに乗って成長するという意味があり、舞い上がる竜の勢いを持って横浜中華街を盛上げて行こうという思いが込められています。
横浜観光情報
また、2020 年から続く光で街と街を繋ぐ取り組み「光のブリッジ」「光のプロムナード」も同時に開催しています。
神戸
神戸の南京町の春節は、旧暦の元日に合わせて開催される南京町最大の祭で、神戸市地域無形民俗文化財に指定されています。
1987年(昭和62年)から中華圏の「春節」をアレンジし「春節祭」が始まりました。
変臉や雑技、獅子舞採青などが披露され、見どころがたくさんあります。
また、春節祭の期間中は特別に南京町広場にて、商売繁盛の神様としても信仰される「関聖帝君」(通称:関帝さま)をお祀りしています。
長崎
長崎市の新地中華街では、「長崎ランタンフェスティバル」が開催されます。
- 開催期間:2024年2月9日(金)~2月25日(日)
- 場所:長崎市|新地中華街、観光通りアーケード、中央公園
- 【ランタン】点灯時間:2月10日(土)は18:00から点灯
- 公式サイト:長崎市公式観光サイト
見どころの1つは、長崎市中心部に色鮮やかな約15,000個のランタンが一斉に灯る点灯式です。
そのほかにも皇帝パレードや媽祖行列、龍踊りなどのイベントが盛りだくさんです。
まとめ
以上、春節について期間や意味、食べ物など春節にまつわることを紹介しました。
日本でも春節のイベントが開催されているので、興味のある方は参加してみましょう。
大学卒業後、台湾の台中で1年間のワーホリを経験。
語学を勉強するのが好きで、大学時代に中国語を副専攻で勉強しながら、ラテン語の授業を受けたり、韓国語を独学したりした。
また、イタリア語をオンラインで学習中。
語学学習の楽しさやさまざまな国の文化を発信。
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